前回のエントリの続きになります。
作業場の近くを通りかかると、修理が終わった(と思っていた)こね鉢の前で作業をする荻上さん発見。

なにをしてるのかな~と近づいてみると…。

文字をなぞっている…?
なるほど、透けてきた文字を描き直しているんですね!
漆は塗ってから長い時間がたつと、透明感が増してきます。
前回のエントリの写真を見ていただくと、文字の一部分がうっすらと赤みがかっているように見えると思いますが、これは塗った時は真っ黒だった漆が徐々に透けて、下に塗られている赤い漆の色が見えるようになってるんですね~。
せっかくなので、わかりやすい一枚を撮ってみました。

こちらの写真、左側は江戸びつ、右側は蓋付き飯切なんですが、見たとおり、全然別の色をしてます。
江戸びつは赤っぽくて、飯切はほとんど黒ですね。
ですが、このふたつはどちらも、同じ色を塗ってます。
木曽春慶、と呼ばれる塗りですね。
完成してから1ヶ月も経ってない飯切はまだまだ色が濃く出てますが、作ってから10年以上経っている江戸びつは、かなり色が透けてます。
この透けた春慶漆は、塗ったばかりのものとはまた違った美しさがあり、昔お客様より「色が透けてきてるものが欲しい」なんてお願いされたこともあるくらいです。(そのため、今国道の店にある透けた春慶の品物は、写真の江戸びつだけに…貴重です)

こういった色の変化は、長い間同じものを大切に使い続けたご褒美みたいなもので、それは使ってくださっている方にとってだけではなく、作っている側にとってもご褒美だったりします。
これからも色が変わるまで大切に使って頂けるようなものを作っていかなくては、と改めて思いました。
朝晩はかなり過ごしやすくなってきた木曽からでしたっ。
(木曽M)